TOPひだまり便り>26号(平成21年2月号)


 理事長より
 寒中に入り冷え込む日も増えてきましたが、昨年12月16日に行われた社会保障審議会障害者部会で出された報告は、障害者自立支援法施行後3年の見直しにかかわる内容としては、抜本的見直しとはいえないものになりました。部会では一定の結論を得るまでには至らず、今後も検討すべき課題として多くの課題が残る結果となっています。
 厚労省は、この報告に沿って制度見直しを進めるべく、12月25日に開かれた障害福祉主管課長会議で、見直しにかかわる法律や制度改正、サービス報酬単価の改訂に向けて、具体的な改正について検討・実現を図る作業を始めました。
 今回は、障害者自立支援法の見直し案の概要をお知らせします。

 障害者自立支援法の見直し案の概要
 この概要は、2008/12/16に行われた社会保障審議会障害者部会の報告書と、2008/12/25に行われた障害福祉主管課長会議の資料を参考に、障害者自立支援法の見直し案の概要をまとめたものです。

@相談支援の強化 ⇒⇒⇒今回の見直しで一番強調されているポイント
 ・ケアマネジメントを行うためのサービス利用計画作成の利用者が非常に少ない(平成20年4月時点、全国で1,919人のみ)という状況で、相談事業の充実が必要とされている。
・地域における相談事業支援体制強化と拠点機関の設置。
・ケアマネジメントのあり方の見直しとして、サービス利用計画作成対象者を全ての障害者に拡大していき、サービス利用計画案を作成して支給決定の参考としていく。

A地域自立生活のための支援 ⇒⇒⇒施設から地域への移行をさらに推進する方向
・地域生活支援として、入所者・入院者への計画的支援、地域移行のための宿泊等の体験を可能にしていくとともに、住まいの場の確保を進め、公営住宅の活用によるグループホームの整備や、夜間支援の質の向上を図る。また、緊急時の24時間サポート体制を充実させ、ショートステイのあり方についても日中活動サービスとともに利用できるように検討していく。
・訪問系サービスのあり方については、「行動援護」などのサービスの一層の活用を図る。
・就労支援として、一般就労への移行支援、継続支援を促進するとともに、それを行う事業所の経営への配慮を検討する。並びに就労継続支援A型(雇用契約を結ぶ事業所)充実のためB型からの移行を促す条件整備を行う。
・所得保障では、現行措置の適切な運用と着実な実施を進めていくことを報告するにとどまり、障害基礎年金については今後も検討するとして先送りになった。

B障害児支援 ⇒⇒⇒長らく見直しがされなかったが、ようやく検討された分野
・入所施設における受け入れの一元化や、措置と契約の判断基準の明確化、経過的児童デイサービスの継続と今後に向けて学齢期のための放課後型デイサービス事業の実施等を検討する。
また、これに伴い障害児の施設については児童福祉法に規定することも含めて検討する。

C利用者負担 ⇒⇒⇒最大の論点であった利用者負担の問題は現状のまま継続へ
 当初の一割負担から平成19年4月特別対策、平成20年7月緊急措置と2度の軽減措置が行われているが、更なる見直しについて論議された。利用者の利益に応じて負担する応益負担から所得に応じた負担となる応能負担へ、他にも多くの意見が出されたが、「これまでの措置で実質的に負担能力に応じて負担する仕組みになっている」との事務局案どおり継続の方向性となった。

D報酬 ⇒⇒⇒居宅介護事業者向けの見直しをようやく実施
・事業者報酬の見直しについては、介護保険の+3%報酬改定より更なる引き上げを検討する。
・人材確保、サービス向上、事業者の経営安定等に配慮し平成21年4月に障害福祉サービス費用の額(報酬)の改定が実施される。

Eサービス体系のあり方 ⇒⇒⇒施設利用に対する「日払い方式」は継続
 「日払い」や「日中と夜間」に分けられた体系を、事業者の安定経営上「月払い」に戻すべきとの意見については報酬改定等で対応していくべきとされた。

F障害程度区分 ⇒⇒⇒見直しは行われず引き続き検討
 現行の程度区分から、各障害特性を反映したものに抜本的に見直すことが必要で、先ず実態調査や研究から始めることとされた。


 成年後見セミナー開催報告
 この概要は、2008/12/16に行われた社会保障審議会障害者部会の報告書と、2008/12/25に行われた障害福祉主管課長会議の資料を参考に、障害者自立支援法の見直し案の概要をまとめたものです。

第1部「寝過ごさないで★★★親なきあと」〜「いずれ」ではなく「今」から〜 
 講師:久保田美也子氏 千葉市手をつなぐ育成会会長 PACガーディアンズ理事
 久保田さんは、息子さんの預金を郵便局で下ろせなかったことをきっかけに、ご主人が成年後見人になった経緯とその経験から得られた思いを語って下さいました。
 まず、親が後見人になって金銭面の管理・家庭裁判所への報告などをすることで、第三者へ子どもを託す意識が芽生えてきたそうです。また、兄弟は知っているようで知らないことが多いので、親がしっかりしているうちに家庭内で話し合うことが大事、そして、親なきあとは財産管理や権利擁護を担当する後見人と、生活面を語ローする支援者が複数いる形を取れるのが理想ではないか・・・という話をされました。

 最後に、久保田さんは、「年を取るとともに、子どもの病歴、障害の履歴があいまいになってくるが、メモを取っていたので色々な場所:児童相談所・入院時・後見申し立て・障害区分判定・・・で役に立った。衰えていく前に大切なことを記録して残してほしい」と、記録をとることの大切さを強調されました。

第二部「この子の記録」内容と記入の説明 
 講師:平井紳一氏 障害児者の将来を守る父の樹会・NPOひだまり理事
 障害を持つ子の記録をまとめて残す冊子を、障害児者の将来を守る父の樹会とひだまりが共同して検討してきましたが、最終原稿案が完成しましたのでサンプルを会場でお配りし、平井理事より記入方法などの説明がありました。
 お子様の個性により残したい記録は様々ですので、自由に組み替えられるようにA4判ファイルに入れて、年度末に障害児者の将来を守る父の樹会会員の皆様にお届けする予定との事です。


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